わたしがしているリンパケアって、なんなんやろ
「お仕事は、何をされているんですか?」
そう聞かれると、わたしは
「さとう式リンパケアのセラピストです」
って答えることが多い。
でも、申請書類などで
「該当するカテゴリーを選んでください」
って言われると、途端に手が止まって困ってしまう。
エステ
フェイシャルケア
ボディメンテナンス
整体
骨格矯正
どれも近いけど、どれを選んでも
「うーん、なんか違うんさなあ」
って、しっくりこない。
どれかを選ばなきゃいけない時は、チェックを入れながら、いつもひとりでモヤモヤしている。
もちろん、身体をケアする仕事には違いない。
リンパを巡らせることで筋肉の緊張がふわっとゆるんで、痛みが和らいだり、身体が軽くなったり、呼吸が深くなったり、ぐっすり眠れるようになったり。
鏡を見て、
「顔がすっきりした!」
「目が開きやすい」
って喜んでもらえることもたくさんある。
長年の痛みがビックリするほど楽になったと、お喜びのご様子を見て、こちらまで泣きそうになったこともあった。
だから「身体のケア」なのは間違いないんやけど……
モヤモヤするのは、わたしがほんとうに大切にしてることは、その先にあるものだからかな。
身体がゆるむとな、心もいっしょにゆるんでいくんさ。
ずっと肩ひじ張って頑張ってきた人が、ふっと力を抜ける。
そしたら、
「わたし、本当はこうしてみたかったんや」
「これを大切にしたかったんやな」
って、身体の奥にあった小さな声に、自分で氣づけることがあるんよ。
「本当は嫌やった」
「本当はしたくない」
の時もある。
わたしは、施術をする時だけじゃなくて、お客様のお話を聴く時間もとても大切にしている。
アドバイスしようとか、専門的な説明をしようとか、そんなんじゃなくて。
その人が、その人のままでいられる時間。
「ここにおるときは、そのままで大丈夫やよ」
って、ゆっくり息ができる場所をつくっていたいんさなあ。
実際にお客様たちからいただいた言葉の中に、わたしがずっと大切にしている願いを見つけることがあって。
「どんな自分の状態でも受け入れて下さる場所なので、とてもホッとします」
「サロンからの帰り道は、また日々の生活の中でこうしてみたいなと前向きに考えられたり、なんだか『希望』が出てくる場所です」
こんな言葉をいただいたとき、
わたし自身も「それで良い」と言うてもらえたみたいで、胸がとっても温かくなって、何度もこの言葉を味わった。
身体を整えに来てくださったのに、帰る頃には「希望」を感じてくれている。
それって、わたしがこのお仕事を通して一番届けたかったもの、そのものやったから。
また別のお客様は、こんなふうに言ってくださった。
「他のところはキャンセルするぐらいの体調でも、ここならすっぴんでヘトヘトでも行くことができるし、行く日が楽しみなんです」
これ言われて、もう、ほんとに嬉しかったなあ。
きれいにしてから行く場所じゃなくていい。
ちょっと元気になってから来る場所でもなくていいんさ。
疲れたままでも、何もできやんくても、心が満杯になったままでも、そのまま来てもらえたらええ。
「身体だけじゃなくて、心まですっきりする」
「普段氣がつかないことに氣づけた」
「一人では見つけられない奥の方の願いにも氣づけました」
そんなお声をいただくたびに、
ああ、わたしは身体だけを見ていたんじゃないんやな、
って改めて思う。
身体と心を分けて考えることなんて、ほんとうはできやんのさな。
身体がガチガチのときに心をゆったり保つのは難しいし、心が張りつめているときは身体だって緊張している。
だからまず、手に触れられる身体を優しくゆるめる。
そして、安心して話せる時間をつくる。
話しているうちに、
「わたし、本当はこう思ってたんや」
って、自分のなかの愛おしいものに出会える。
そんな瞬間に立ち会わせてもらえることが、わたしは心から幸せやなって思う。
施術をする人間として、技術を磨くのはもちろん大切。
でもわたしは、その人の身体にそっと触れることと、その人の言葉に優しく耳を傾けることは、深いところでちゃんと繋がっていると思っている。
力づくで変えようとしない。
こちらの「正しさ」を押しつけない。
その人の身体も、想いも、まずはまるごと尊重する。
そして、その人がもともと持っている、その人らしい状態に還っていくのを、ほんの少しお手伝いする。
ああ、やっぱり。
わたしのしているリンパケアを、ひとことで説明するのは難しいな。
「何のお仕事ですか?」
って聞かれて、カテゴリーに迷うのも、最近は
「まあ、それもわたしらしくて悪くないかな」
って思えてきた。
エステだけでもない。
整体だけでもない。
美容だけでも、身体だけでもない。
元心理カウンセラーやけど、カウンセリングだけでもない。
わたしが届けたいのは、
身体がゆるみ、心もゆるんで、自分自身に還っていける時間。
サロンを出るときに、
「また、こうしてみようかな」
って、ほんの少し前を向けたり、
自分のことをもう一度愛おしく思えたりすること。
その人の中にある、
「自分で自分を幸せにしていく力」を思い出してもらえたらなあ。
だから、
「わたしの仕事は○○です」
って、今すぐひとつに決めつけなくてもええんやな。
ただ、
「その人が、その人らしく生きていくための身体と心の土台を、いっしょにつくっていくお仕事です」
そう言えたら。
今のわたしには、それが一番しっくりきている感じ。



